
生物学
スーパークリエイティブコアという分野に詳しくなりたい!
まずは生物学に疎いので、ざっくり勉強してみました!
概要
- 『環境に適応した生物』はいても、『優秀な生物』はいない。
- 生物を絶滅させない方が良いのは、何が起こるか分からないから。
(頭が良いから・感情を持っているからというのは環境保護活動の理由にはならない) - 同様に、人工物だが生態系サービスが長く確立しているもの(水田等)は、保護した方が良い。
読んだ本
- 若い読者に贈る美しい生物学講義 更科功 ※特にオススメ
- 生物多様性科学のすすめ 大串隆之
- 人体 なんでそうなった? ネイサン・レンツ
- 絵でわかる進化論 徳永幸彦
生物の定義
- 外界と膜で仕切られている
地球上の生物は『リン脂質二重層』で細胞膜を作っている。
大部分が疎水基のため、細胞膜は疎水性物質(酸素や脂質)を透過するが親水性物質(水やイオン)を遮断する。
一方で細胞膜はイオンを透過する『チャネル』や『イオンポンプ』も備えている。
このため細胞内のイオン濃度を偏らせ、特定の化学反応を起こすことで、代謝を行うことができる。 - 代謝を行う
生物の中では、エネルギーと物質が流れている。
例えば人類の小腸細胞は消化の際に剥がれるが、小腸自体が消滅したりはしない。
この様に流れがあるが形状が変化しない、非平衡で定常である構造を『散逸構造』『定常開放系』という。
2021年現在のロボットや自動車は、エネルギーの流れはあるが平衡状態にあるので、この定義から外れる。 - 自分の複製を作る
自分の複製を作ることが生物の定義とされるが、
更に進化が生じるには『変異した複製を作り、それが一部淘汰されること』が必要である。
(適応したものが生き延びる=適応できなかったものが死ぬ)
したがって進化には生物そのものだけではなく、環境等による適度な淘汰圧が必要である。
生物の分類
20世紀後半に発展した分子系統学では、アミノ酸配列を使って生物進化の道筋を描いている。
これによれば生物は以下の3ドメインに大別できる。

細菌はバクテリアとも呼ばれ、大腸菌・枯草菌等を含む。
真核生物は動物・植物・原生生物等を含む。
古細菌はアーキアとも呼ばれ、メタン菌・高熱好酸菌等を含む。
細菌と古細菌をまとめて『原核生物』と呼ぶこともあるが、
動物と植物の差よりも、細菌と古細菌の差の方が遥かに大きい。
また細菌と古細菌よりも、真核生物と古細菌の方が系統的に近い。
植物

植物はコケ植物、シダ植物、種子植物の3つに大きく分けられて、
更に種子植物は裸子植物と被子植物に分けられる。
樹木の外側は辺材・白太といい、水分や養分を運搬する働きをする。
大気圧では水は10.3mまでしか上がらないが、
細胞内で凝集力を生じさせることで450mまで上げることができる。
被子植物の使う導管は太くてまっすぐなため水をたくさん運べるが、
気泡が一度できると使用不能になる。
裸子植物の使う仮道管は細く曲がりくねっているため
気泡ができても問題ないが、運べる水の量は少ない。
つまり、被子植物の方が性能は良いが裸子植物の方が安定している。
このため時系列では後に登場した被子植物よりも、裸子植物の方が大きな木になりやすい。
樹木の中央部は心材・赤身といい、細胞としては死んでいるが樹木を支える働きをする。
それぞれの細胞の寿命はせいぜい30年程度だが、死んだ細胞は心材に変化し、
更に樹皮側に生きた細胞(辺材)が生まれることで生命活動を続ける。
屋久杉の様に『数千年生きる』と言われることがあるのはこのためである。
また樹木を切り倒しても、心材は硬いままほぼ変化しない(既に死んでいるため)。
動物
動物が動くのは、消化管の中に食べ物を入れるため。従って、『口のある方が前』。
動物の進化を、『陸上活動への適応』の目線で考えると以下のようになる。

尿素を作れる = 陸上でアンモニアを水溶液として捨てられる
洋卵膜がある = 陸上で卵を保湿できる
尿酸を作れる = 陸上でアンモニアを固形物として捨てられる
このように機能が増えているから必ず優秀と言えるわけではないし、
人類が最も進化した動物というわけでもない。
メリットとデメリットは表裏一体であり、繁栄しているのはただ今の環境に合っているというだけである。
現在は計算が得意な『人類』が数を増やしているが、大きな脳の維持には
多量の熱量がいるというデメリットを抱えており、飢餓には極めて弱い。
生態系
生態系では、生物同士の関わり合いは食物連鎖だけではない。

下の例に示すように、成長を促したり、ボディガードにしたり、廃棄物を利用したりという関係がありうる。
それどころか、現在は観測できないが、環境が変わると発生する関係も有り得る。
従って生物1種類が急速に減ってしまった時、その影響がどれほどか想定するのはカオス的で極めて難しい。
つまり人類に有益である生態系サービス(栄養循環・機構調節等)に悪影響しない保証がない。
また生態系の変化による影響が表れるまで100年かかることも少なくなく、
回復できたとしても同程度の時間を要する。
- アワフキはヤナギに産卵するが、これによりヤナギの成長を促す。
ハマキガの幼虫はヤナギに巣を作り、空いた巣にアブラムシは住み着く。
アブラムシは甘露でアリを集め、アリはアブラムシの競争相手であるハムシを追い払う。 - キャベツはコナガに食べられた場合、香りを放出してコナガの天敵(コナガコマユバチ)を呼ぶ。
機械的損傷ではこの香りは出さず、エネルギーを節約している。 - 花の色・形や果実の大きさによってそれを選択する(繁殖を助ける)動物の種類が異なる。
ハナバチ媒は青、チョウ媒は赤、ハナアブ媒は黄の花を好む。
動物は運べる範囲でできるだけ大きい(他の動物と接触範囲が被りにくい)果実を食べる。
アボカドは1万年前の巨大動物の絶滅で繁殖範囲が狭まり、一緒に絶滅しかけている。 - アリューシャン列島でラッコが減少した際、ラッコの主食であるウニが増え、
ウニの主食であるコンブが減り、コンブを必要とする魚介類の食物連鎖が壊滅した。 - 数値シュミレーションにおいて、『捕食者』と『おいしいエサ』だけでなく『おいしくないエサ』
(あまり美味しくないが飢餓なら仕方なく捕食者が食べる非捕食者)を加えたところ、
それぞれの生物の数量が極めて安定した(時間軸で振動しなくなった)。 - 日本の河川は河況係数(最大流量/最小流量)が1000前後と極めて大きいため、扇状地ができやすい。
扇状地は粒度分布の広い礫でできており、水を通しやすいため、地表面は干上がりやすい(伏流水)。
しかし稲作のため、水田・水路・ため池という人工物が弥生時代(紀元前1000年頃)から維持されてきた。
このような水質に偶然適応したゲンジボタルが生息範囲を格段に拡大した。
人類
人類が直立二足歩行に進化した(直立二足歩行が有利であった)理由の一つとして考えられるのが、
『血縁者で子育てする』社会が確立していた場合である。
直立二足歩行であれば歩行時に両手が使えるため、食べ物をより多く運搬できる。
『血縁者で子育てする』社会であれば、自分と遺伝子の近い子供に食べ物を与えられる。
他の動物に比べて未熟児的である人類の子供は、子育てされることで格段に生存率が上がる。
生き残るということはその因子が遺伝しやすくなるということである。
一方で、人類が進化で『得てしまった』デメリットも多くある。
例えば嗅覚の重要度が低下したため、顔がどんどんコンパクトになった。
その結果副鼻腔がスキマに無理矢理押し込まれる形となり、
他の哺乳類に比べて鼻炎(風邪)にかかりやすくなってしまった。
黒死病、インフルエンザ、武漢肺炎などの呼吸器系の病で人類が
度々大打撃を受けているのは、そのように進化したデメリットが表出していると言える。
またコミュニケーションのために喋るようになったのは人類の重要な要素の1つだが、
発声しやすくするために喉頭が上に移動したため、他の哺乳類に比べてむせやすくなってしまった。
この様に、人類は『最も進歩した動物』でもないし、『最も優れた生物』でもない。
現在でも人類の進化は続いており、例えば乳糖不耐症(乳が消化不良になる)がそうだと言われている。
子供の離乳にとって『良い』特徴であるため多くの哺乳類が持っているが、
人類は成体になっても牛や羊の乳から栄養を得るようになったため『悪い』特徴となり、
人類で乳糖不耐症を持つ割合が減ってきているという。
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