
電気工作
高電圧直流に詳しくなりたい!
大気電流
大気電流・雷・全地球回路(グローバルサーキット)については、
雷の科学 (2009 東京大学出版会/高橋劭)や
4.大気電気学-全地球回路- (2013 プラズマ・核融合学会誌/高橋幸弘)が詳しい。
地球の高度100kmの場所には、宇宙線によって生じた電離圏がある。
地殻と電離圏はどちらも1000Ωm程度の導体であり、これらの間には100V/mオーダーの電場がある。
導体球を導体球殻が覆ったコンデンサのような構造になっている。
晴天域ではプラスイオンが1pA/m2オーダーで地表に流れ、雷雲では逆方向の電流が流れる。
地球全体では1000Aオーダーになる。
この様な電場や雷からエネルギーを取り出す『大気電流発電』が研究されており、2010年に金沢工大 饗庭教授の仕事が報じられている。
地上65mの避雷針での測定値から換算すると、400kWh程度出力できるとのこと。
ただし続報を見ないため、ジュール損が大きすぎる等の理由でライフサイクルコストが低すぎたのかもしれない。
雷
積乱雲内ではアラレが氷にぶつかる際に、氷表面の電荷を削りながら移動するため電荷の偏りが生じる。
このため積乱雲は上が+・下が-の250kVの電池のようになり、全地球回路のドライビングフォースとなっている。
地球全体では毎秒50回くらい放電している。
1回の雷の電荷量は 20C = 20A・秒 程度。
例えばLED電球( 8W / 100V = 0.08A )の点灯時間に換算すると、20A・秒 / 0.08A = 250秒となり、労力が見合うほどではない。
一方でエネルギーは 10MV×30kA×50us ≒ 15MJ ほどある。
人間の致死量の数千倍である他、近年では風力発電機のブレードを破壊することが問題となっている。
コッククロフトウォルトン回路
低圧交流から高電圧直流を作り出す回路。
各電子部品の耐圧スペックが低くても作れるため便利な回路。
ブラウン管テレビ、絶縁抵抗計、オゾン風・プラズマ発生器に使用される。
海外製イオンレイガンキットにも含まれている。
数kVの直流を作り出せる一方で、電力はブーストされないので昇圧するほど取り出せる電流量は減っていく。
元電力に依存するが、大きくても数mA程度である。

プラズマ
電離した気体分子のこと。
イオン化エネルギーが小さい溶質中で、アノードとカソードを近接させて高電圧を印加し放電することで生成できる。
例)
・表面改質 … Heガス中で 8kV
・ジェット … Heガス中で 0.6kV
・オゾン水 … 水中で 1~2kV
・イオン風 … 空気中で 1.5kV
イオン風
イオン(プラズマ)を発生させ、電場で運動量を与えて気体流れを起こす技術。
反力を得る場合はイオンエンジンと呼ぶ。
人工衛星において化学ロケットよりも比推力が大きいため、『はやぶさ』にも採用された。
イオンクラフトも類似の原理と考えられる。
電気の致死量
正確なものは IEC60479-1 人間及び家畜に対する電流の影響 にまとめられているが、
ざっくり 0.1A×0.1秒 以上の感電をすると呼吸困難・心拍停止が生じる恐れがある。
乾燥している人間の抵抗が2000Ω程度なので
家庭用電源である交流100Vでは0.1Aの感電をすることはほぼない。
青の炎(貴志祐介)では人間の抵抗を下げる方法を考察している。